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2016.12.13

貸倒損失をどう主張すべきか?

※2016年4月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

 

株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。

貸倒損失に計上できるのかどうか、
また計上した場合、税務調査でどう主張すべきなのか、
論点としては「ありがち」ではありますが、
この準備をきちんとしている税理士は少ないようです。

まず、貸倒損失の計上要件として、
法人税基本通達9−6−1〜3が挙げられますが、
その前提として、実際に債権が存在しているからこそ、
税務調査で問題になるわけです。

この前提に立てば、貸倒損失を確実に認めさせる方法は、
法的に債権放棄をすることが有効であることがわかります。

ある時に、法的に債権が存在しなくなったら、
その時点で損失を計上するしか会計上あり得ないからです。
(税務上は別論点が存在しますが、
それは下記を読み進めてください)

なお債権放棄は、債務免除を示す書面を郵送すれば足り、
公正証書でなければ効力が発しないわけではありません。

「もう債権は存在しない」というこちらの認識と、
「もう債務はなくなった」という相手方の認識が
合致していれば問題ないのです。

さて、ここまでは第三者(取引先など)のケースです。

さらに問題になるケースは、債権の相手方(債務者)が
利害関係者である場合です。
子会社・関係会社、株主・役員、親族関係等。

これらのケースで債権放棄をしても、
法人側で「寄付金」と指摘される可能性大です。

なぜなら、双方の勝手な都合で債権放棄をすると、
実質的に資金等を贈与することができるからです。

このあたりは、事実認定の問題となりますが、
利害関係者に対する債権放棄をした場合に、
税務調査で主張すべき論点は2つです。

(1)必要性

「その債権放棄がやむを得ず行われた」理由です。

例えば、債権放棄しなければ他との取引ができない、
組織再編をするのでこれを機に回収不能債権を
見直して株価算定を行う必要性があった、など。

(2)相当性

「その債権放棄について相当な理由がある」こと。

例えば、滞留債権が多額だと追加の銀行借入ができない、
回収するのに時間も労力も(債権額以上に)
かかってしまう、などが考えられます。

どちらにしても根本的に大事なことは、
債権放棄した側に、債権を放棄する
「経済合理性」があるのか、ここをきちんと
主張・説明できれば調査で認められるはずです。

逆に言えば、ここを主張せず・できないから、
税務署は貸倒損失として認めない、
もしくは期ズレと主張してくる結果となるのです。

税務調査の質問等を受けると、貸倒損失に関して
否認指摘を受け、曖昧な主張・反論しか
していないケースが多く見られます。

必要性・相当性、そして経済合理性という観点から
きちんと説明できるよう準備しておくことが重要です。

 

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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