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2014.09.17

調査官の情報収集活動-その4-

《調査官の情報収集活動-その4-》

先日、ある司法書士(個人事業者)の方からご連絡がありました。

「朝、出掛ける準備をしていると、税務署の方がお二人突然やって来ました。税務調査だと気づいた時には後の祭りです。現金出納帳や家族の預金通帳まで細かく調べられて大変な思いをしました」と…

なぜ突然、彼は税務調査に入られてしまったのでしょうか?

実は、この春に新しいオフィスとして不動産を購入していたのです。
不動産取得と聞けば法務局の管轄と思われる方も多いでしょう。

しかし、調査官は法務局からも情報収集をしているのです。

一等地に新しい高級タワーマンションが建設されているのを見ると
こういったところに住む人はいったいどんな人なのか?
皆さんも興味があるところですよね。

新しい不動産を購入すれば、その登記情報は法務局に上がってきます。税務署から法務局に書類を提出すれば、
登記情報をたやすく閲覧することも可能なのです。

購入者たちはどういった職業か、収入はどのくらいあるのか
細かく調べていくうちに個人事業主である彼にたどりついたワケです。

彼の昨年度の確定申告は正しく行われているのか?
経営状態から見て生活レベルに相応しい物件であるのか?

調査を進めていくうちに、いくつかの矛盾が見えてきます。
どうやら飛び込みで依頼された案件をかなり申告していなかったようです。

飛び込みの案件とは、その場限りで終わるケースも多く
簡単な書類作成だけなら、直接現金でやり取りすることもあります。

銀行振り込みではないため、その現金の流れは見えません。

当然、クライアントには領収書を発行していますが、
この司法書士は証拠を残したくないため、それらを処分してしまったのです。

まさか不動産登記の情報から税務調査が入るとは思ってもなかったようです。

登記に関しては、他にもこのようなケースがありました。

従業員十数人を抱える企業の社長が交通事故で亡くなりました。
会社を相続するにあたり、代表の登記を変更しなければなりません。

家族が亡くなり財産を相続するのと、会社を相続するのとでは
少し話が違ってきます。会社の価値という目に見えない財産があるからです。

株式市場で取引されている大企業であれば、
その日の株価から会社の価値はすぐに算出することができます。

しかし、ほとんどの中小企業は株を一般に公開していませんので
その価値をすぐ出すことができません。

こういった場合は、会社の評価額は資本金と事業年数、
従業員数によってその金額が決まるわけですが・・・

折からの不況で経営状態は下がっていたとしても
事業年数が長く、従業員数が多い場合は評価額が高くなるケースもよくあります。

社長が生命保険に加入していれば、その分の益金も加味されます。
突然の出来事だったため、新社長をかなり慌てさせたケースでもありました。

今回のケースでは調査官にきちんとした経営状態を説明できたので
提示された修正項目を受け入れることなく事なきを得ました。

このように登記をきっかけに調査官が動くケースもあるのです。

 

※2009年10月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。

また、ブログの内容等に関する質問は、
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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