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2016.09.13

現金売上計上もれと重加算税

※2015年9月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

 

おはようございます。税理士の見田村元宣です。

さて、今回は「現金売上計上もれと重加算税」ですが、

平成17年1月11日の裁決を取り上げます。

さて、皆さんは税務調査において、「現金売上」の計上もれの指摘をされ、

重加算税とも指摘を受けた時、どのように反論していますか?

例えば、

○領収書の控えの「一部」に売上計上もれがあった

○入金帳や窓口帳などには記載があるが、その一部を総勘定元帳に記載

することを失念した

というケースがあります。

この場合、重加算税との指摘を受けることがあります。

ひどい場合になると、「故意でなくとも重加算税はかかる」とも

指摘を受けるケースがあります。

この場合、どのように反論すべきでしょうか?

上記の裁決事案の概要はこうなっています。

○請求人が事務所の窓口で受領した売上代金等については請求人の従業員が

 本件入金帳に記載しており、本件売上げについても、本件入金帳の

「年月日」欄に「平成13年10月22日」、「科目」欄に「■■■■」、

「摘要」欄に「登記業務」、収入金額」欄に「500,000・現金」と

記載がある。

○請求人は本件入金帳を基に入金(売上)伝票を作成し、総勘定元帳に

記帳していたが、本件売上げに係る入金(売上)伝票は作成されていない。

○請求人の経理担当者である■■■■■は、当審判所に対し、本件売上げに

係る入金(売上)伝票が作成されなかった理由は事務処理ミスからであり、

故意に作成しなかったものではなく、調査担当職員にその旨を説明したが

理解してもらえず、調査担当職員に「故意に除外したのではないか。」と

言われた旨答述している。

○本件売上げの代金が請求人に入金された後、その現金の行方は不明である。

○請求人の取締役は「小遣い程度の金額なので使ってしまったかもしれない」

と申述した

この前提の下、国税不服審判所は下記と判断しました。

○原処分庁は、請求人が本件売上げの代金を現金で受領しているにも

かかわらず益金の額に算入しなかったこと及び■■■■が調査担当職員に

対して「小遣い程度の金額なので使ってしまったかもしれない」と申述した

ことなどをもって、通則法第68条第1項の規定に該当する旨主張する。

○ところで、通則法第68条第1項に規定する「隠ぺい」とは、納税者が

その意思に基づいて、課税標準等の計算の基礎となる特定の事実を隠匿し

あるいは故意に脱漏することをいうものと解されている。

○これを本件についてみると、請求人は本件売上げに係る入金の事実を

本件入金帳に記録したものの、本件売上げに係る入金(売上)伝票は起票

されておらず、総勘定元帳にもその記録はなく、本件売上げに係る代金の

行き先は不明である。

○このように、本件売上げが請求人の所得金額の計算上益金の額に算入

されることなく申告漏れとなった理由については、請求人の経理担当者の

答述からすると、請求人の事務処理上のミスからであることも否定できず、

請求人が積極的に本件売上げを所得金額から除外したと認定できる事実は

認められない。

○そうすると、通則法第68条第1項に規定する「隠ぺい」の事実は

認められず、また、同項に規定する「仮装」の事実も認められない。

いかがでしょうか?

重加算税を定めた国通法68条に規定する「隠ぺい」、「仮装」という

行為は「故意に」行なわれることが前提です。

これはどの裁決や判決でも示されている考え方ですので、上記の調査官の

ように「故意でなくとも重加算税はかかる」は完全に間違っているのです。

当然ですが、現金売上の計上もれを指摘されるということは、

イコール「これを記載した何らかの書類」が残っているからです。

当然、ここには適正に計上されている他の売上の記載もあります。

売上を脱漏しようという人が他の売上も記載されている領収書、入金帳から

一部のみを除外するでしょうか?

当然、そんな方法を採る訳がありません。

もし、売上を除外しようと思うなら、領収書を別に切る、入金帳には記載

しないなどの行動を採るでしょう。

しかし、そういう行為が無い訳ですから、その現金売上の計上もれは

「事務処理上のミス」であり、「隠ぺい」でも「仮装」でもないのです。

まとめます。

調査官が現金売上の計上もれを指摘できたということは、これを記載した

何らかの書類が残っているということです。

ということは、「その書類がある=重加算税ではない」ということなのです。

冒頭に記載した、

○領収書の控えの「一部」に売上計上もれがあった

○入金帳や窓口帳などには記載があるが、その一部を総勘定元帳に記載

することを失念した

というのは、私に税理士から相談があった事案です。

私は「上記裁決を提示し、このメルマガに書いた考え方をベースに反論

してください」と伝えました。

そうしたら、2事例とも「あっさり」重加算税は引っ込んだそうです。

調査官は「適正な根拠」が無いままに「重加算税だ」と指摘していたのです。

このように税務調査においては「適正な根拠」を提示し、「適正な反論」を

することにより、調査官の指摘に対応することができます。

このような対応方法を教えてくれるのが、「税務調査のノウハウ習得会」で、

元国税調査官の久保が日本全国の税理士からの質問に答えている企画です。

この会は

○日本全国で500名以上の税理士が登録しているメーリングリスト

○今回の募集は9/18(金)まで

○今回の募集まで月額10,000円(税抜)

→次回以降は月額15,000円(税抜)

というものです。

ご参考までに、参加されている税理士の方の声(一部)を記載すると、

下記となっています。

◆ベンチャーサポート税理士法人 代表社員 中村真一郎 様

当事務所は顧問先が多いため、必然的に税務調査の件数も多くなります。

このメーリングリストに加入していることで、税務調査の対応も安心する

ことができますし、 他の会計事務所が質問する内容・回答を参考にする

ことで職員のレベルアップにつなげることができています。

◆黒川税理士事務所 税理士 黒川明 様

久保さんは習得会やコンサルの場で日本一税務調査の相談を受けている方で、

かつ、ご自身で開催されている税理士向けの勉強会などで日本一多くの

税務調査事例に触れている方だと思います。

要は日本一税務調査のノウハウをお持ちの方だと思います。

そのようなノウハウを得ることができるこの習得会は、お客様を税務調査

から守るための標準装備として税理士事務所に必要ではないかと思います。

◆税理士法人東京税経センター 代表社員 徐瑛義 様

他の会計事務所が「こういうところで悩んでいるのか」と知ることができ、

調査でトラブルになる前にリスクヘッジができるため、非常に有益だと

思います。 また質問をしても、参加者である他の税理士さんからの意見が

もらえるのも、メーリングリストの価値ですね。

◆田中忠勝税理士事務所 税理士 田中忠勝 様

今までの経験で調査対応していましたが実勢の署内の事情、調査選定の

仕方などなどお客様に調査とはこんなもので、こんな方法でやるんだよと

いろいろ自信をもって説明できるようになりました。

メーリングリストでいろいろな質問も出来ます。

普通はないと思いますのでこの生の情報だけでも財産です。

◆藤原公認会計士事務所 税理士 藤原祥孝 様

我々がなかなかうかがえない税務当局の内部体制、税務調査の立会や

税務当局との交渉の際の留意点をわかりやすく丁寧に説明いただき、

大変参考になっています。

単に原理原則だけを主張するのではなく、税務当局を納得させるための

言い回しなどはその組織の中にいたからこそ分かるものでしょうから、

私のような外部の者はうなずくばかりです。

◆小池織嗣税理士事務所 税理士 小池織嗣 様

メーリングリストという形式なのでデータベースとして非常に有用だと

感じています。

そういう意味ではなぜもっと早く入会しなかったのかと後悔することが

あります。

また、ほぼ毎日何かしらの投稿がされているので税務調査に関するノウハウ

の蓄積が段違いですね。

実際、新規のお客様と面談する際にここで得た知識をお伝えすることで

成約率はかなり上がりました。

書籍等では絶対に出てこない情報なので、お支払している金額以上の価値が

確実にあると思います。

是非、この機会にご入会ください。

 

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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