• HOME
  •  › ブログ
  •  › 更正の予知に関するガイドライン
2016.02.24

更正の予知に関するガイドライン

※2014年6月の当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

 

2013年の国税通則法改正から、税務調査を実施すると
手続き上の問題から日数がかかってしまうので、
最近は税務署も、資料せん等から誤りが明確にわかる場合は、
電話連絡で誤りを指摘し、修正申告を提出してもらう
(簡易接触)の件数を増やしているようです。

さて、ここで加算税に関して整理をすると、

税務調査 → 修正申告 = 加算税を賦課

税務調査以外 → 修正申告 = 加算税は課されない

となります。つまり、自ら誤りに気付いたのではなく、
税務署からの電話連絡等で誤りに気付いて修正申告をしても、
税務調査でなければ、加算税が課されないというわけです。

法的な判断根拠は、国税通則法第65条第5項において、
いわゆる「更正の予知」に該当するかどうかです。

「更正の予知」については、過去のメルマガでも
判決等を含めて何度か解説をしていますので、
ぜひ復習していただくとして・・・

実は昨年、国税内部で加算税の賦課について、
内部通達が出されていることがわかりました。

「加算税賦課に係る事実認定に当たっての留意事項(情報)」
(平成25年6月28日 国税庁 課税総括課)

※TAINSで検索すれば全文を読むことができます

この内容を一部ピックアップして解説しましょう。

まず大事なことは、税務署からの連絡がそもそも、
税務調査に該当するのかどうか、という点です。
ここがすべての分岐点といえるでしょう。

内部通達の中で、この定義を整理されています。
(一部のみ抜粋)

【調査の範囲等に関する事項】

1 国税通則法の調査手続規定における「調査」の意義が明確化された(解釈通達)

2 納税者に接触する行為のうち、調査に該当しない行為(行政指導に該当する行為)
を例示するとともに、これらの行為のみに起因してされた修正申告等は更正が
あるべきことを予知してなされたものには当たらないことを明示した(解釈通達)

3 納税者への接触に当たっては、調査・行政指導いずれの事務として行うかを
明示することとした(平成24年9月12日付課総5-11ほか9課共同
「調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について(事務運営指針)」)

特に「3」が大事で、税務署からの連絡があった場合において、
税務署職員はその連絡が「税務調査なのか、そうでない
(行政指導)かを明示する、としていますが、
このルールが守られていないケースがほとんどでしょう。

税務署から連絡があった場合、まず
「この電話は調査ではないですよね?」と確認しておけば、
結果として修正申告になっても加算税は課されません。

この確認を怠るので、あとあとになって加算税で
モメるケースが発生してしまうのです。

モメてしまったあとで、納税者側の抗弁としては、
同内部通達において、こう明記されている内容です。

「加算税の賦課の判断に当たっては、課税庁側の観点から調査を
行っていたか否かではなく、納税者において調査が行われていることを
自ら認識していたか否かにより判断すべきものと考えられますので、
加算税を賦課する場合には、納税者が調査が行われていることを
自ら認識し得る状況にあったと評価できることが必要と考えられます」

つまり、税務署職員がいくら後から
「連絡した時点で税務調査のつもりでした」と言っても、
納税者が税務調査であることを認識していたかどうかが
重要な論点になるということです。

これには内部通達内にその根拠が載っており、
「東京高判 平17.4.21、東京高判 平11.9.29同旨」
を参考にして、上記の判断基準を明示しています。

加算税でモメてしまっても、この基準を明示すれば、
加算税が賦課されずに終わることも多いはずです。
ぜひ知っておいてください。

 

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

毎週水曜日に配信する『税務調査対策のメールマガジン』では、最新の税務調査事情はもちろんのこと、調査官の心理、税務署のウラ側など元国税調査官だからこそ語れるマニアックなテーマまでをお届けします。
「こんなことまで話して本当に大丈夫ですか?」 と多くの反響を頂く税理士業界では話題のメルマガです。
お名前とメールアドレスを登録するだけで 毎週【 無料 】でメルマガを配信いたします。