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2014.11.21

役員賞与の未払金を債務免除

今回のテーマは、『役員賞与の未払金を債務免除』です。

昨今の急激な経済状況の悪化により、
資金繰りが悪化している会社が急増しています。

資金繰りが悪化すれば、当然支払うべきものを止めるのが会社。
まず実行するのが役員給与の支払いストップでしょう。

いったん役員給与を未払計上したのはいいですが、
実際に支払うことができず、この未払金を債務免除する
ケースが多いのもまたやっかいです。

最近、ある税理士事務所から弊社に相談に持ち込まれる案件の中でも、役員報酬の未払金を債務免除した場合に
債務免除益を計上するよう税務調査で指摘され、
非常に困っているという内容が多いのです。

役員給与の中でも賞与部分は損金不算入であり、
この未払金を債務免除した結果として
債務免除益を計上すると二重課税となってしまいます。

未払役員給与の中でも損金不算入の部分については、
下記4つの要件を全て満たした場合は、
債務免除益の益金算入しなくてもいいのです。

①取締役会等の決議によること

②その全部又は大部分の金額を支払わないこととされていること

③その支払わないことが、いわゆる会社の整理、
事業の再建及び業況の不振のためのものであること

④その支払わないこことなる金額が、
その支払を受ける金額に応じて計算されているなど、
一定の基準によって決定されたものであること。

さてここで、実際の税務調査でポイントになるのは
「事業の再建及び業況の不振のためのものであること」
の要件を満たしているのかどうかというポイントでしょう。

通達等にも明確な基準として、「どうすれば事業の再建」で、
「どうなれば業況の不振」なのかは明文化されていません。

調査官としては、このような曖昧な基準の規定ほど、
否認の指摘をしてくるものです。

特に、未払給与を計上しているにもかかわらず
黒字になっている会社については厳しく追及します。

黒字にしないと銀行との問題が生じることも
わかっているのですが・・・

不明確な基準で否認の指摘を受けた場合、
つまり「事業の再建及び業況の不振のためのものであること」
の要件を満たしていないと指摘された場合は、
「では何をもって事業再建でも業況不振でもないとしているのですか?」
と調査官に質問してください。

基準な曖昧なのは納税者側も調査官側も同じです。
調査官も否認するためには、確かな根拠が必要になります。
曖昧な指摘を安易に受け入れないことが重要です。

また似たようなケースで注意が必要なのは、
未払配当金については未払給与のように
益金不算入のような特例規定はありません。

債務免除益を計上して二重課税になりますので、
かなり注意が必要なポイントを言えます。

 

※2010年8月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。

また、ブログの内容等に関する質問は、
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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