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2017.03.02

契約社員の退職に伴う慰労金は何所得?

※2016年9月の当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

 

さて、今回は「契約社員の退職に伴う慰労金は何所得?」ですが、

平成23年5月31日の裁決を取り上げます。

多くの会社で契約社員と雇用契約を結んでいますが、

その契約満了時の「一時金」を支払うこともあります。

この一時金である「慰労金」が問題となったのが、本裁決です。

この事案の概要は下記の通りです。

〇請求人は契約社員として、F社に勤務していた。

〇F社は契約満了時に支給した「慰労金」につき、

「給与所得(賞与)」として、源泉徴収を行ない、源泉徴収票を発行した。

〇請求人は「慰労金」は「退職所得」に該当するとして、源泉徴収された

所得税の還付を求める確定申告を行なった。

〇原処分庁は給与所得に該当するとして、更正処分を行なった。

つまり、「慰労金」という名目で支払われた金員がどちらに該当するのか?

ということです。

では、基礎事実です。

〇雇用契約の締結及び契約期間等

・請求人はF社との間で契約期間を平成18年3月6日から同年5月14日まで

とする同年3月6日付の期間契約社員雇用契約を締結。

・その後、おおむね2か月ごとに、期間契約社員雇用契約の更新をしたが、

契約期間を平成21年2月9日から同年3月5日までとする同年2月3日付の

契約を最後に終了した。

〇慰労金に係る定め

・雇用契約書、F社の契約社員就業規則によれば、F社は契約期間を

満了した者のうち、勤務成績が良好な者には慰労金を支給することが

ある旨が定められている。

・F社が請求人を含む契約社員に交付した契約社員マニュアルによれば、

契約期間を満了して退職する場合、その時点での欠勤・休日出勤を含まない

勤務日数に応じ、慰労金が支給される旨が定められている。

〇本件慰労金に係る源泉徴収の内容

F社は

(1)F社には契約社員に係る退職金規定がないこと

(2)慰労金は契約期間を満了した者に対して支給しているが、契約期間が

満了し退職するすべての者に支給するものではないこと

(3)慰労金は自己都合による一契約期間途中の退職者に対しては

支給していないこと

(4)本件慰労金は契約期間満了という功労に報いるための一時金として

支給したものであること

を理由として、本件慰労金に係る所得区分を給与所得とした。

〇本金慰労金の内訳(下記の合計額が本件慰労金)

・契約期間における請求人の勤務日数734日に応じて支給される慰労金

→以下、「本件労働慰労金」という。

・請求人の有給休暇の残日数12日に日給額9,600円を乗じた手当金

→以下、「本件有給休暇手当金」という。

では、国税不服審判所の判断にいきましょう。

〇法令解釈

(略)従業員の退職に際し退職手当又は退職金その他種々の名称のもとに

支給される金員が、所得税法にいう退職所得に当たるかどうかについては、

【その名称にかかわりなく】、退職所得の意義について規定した同法

第30条第1項の規定の文理及び退職所得に対する優遇課税についての

立法趣旨に照らし、これを決するのが相当であり、ある金員が、「退職手当、

一時恩給その他の退職により一時に受ける給与」に当たるというためには、

それが、

(1)退職、すなわち勤務関係の終了という事実によって初めて給付

されること

(2)従来の継続的な勤務に対する報償ないしその間の労務の対価の

一部の後払の性質を有すること

(3)一時金として支払われること

の各要件を備えることが必要であると解される。

〇本件労働慰労金に係る所得の区分

・ある金員が「退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与」に

当たるというためには、それが、(1)退職、すなわち勤務関係の終了という

事実によって初めて給付されること、(2)従来の継続的な勤務に対する

報償ないしその間の労務の対価の一部の後払の性質を有すること、

(3)一時金として支払われることの各要件を備えることが必要であると

解される。

・本件労働慰労金は、請求人が契約期間を満了して退職するという事実に

よって支給され、請求人が契約期間における出勤すべき日数の90パーセント

以上を出勤し、勤務成績が良好な者に該当するとして、契約期間における

勤務日数に応じて支給され、平成21年3月度の給与として一時に支給

されており、上記(1)ないし(3)の各要件をいずれも満たすものと

認められることから、本件労働慰労金は退職所得に該当する。

・本件有給休暇手当金に係る所得の区分

本件有給休暇手当金は、請求人が契約期間を満了して退職するという事実に

よって支給されること、契約期間中における継続的な勤務から生じる

有給休暇について請求人がこれを取得しなかったことを支給の根拠と

していること、平成21年3月度の給与として一時に支給されたことから

すると、上記(1)ないし(3)の各要件をいずれも満たすものと認められる

ことから、本件有給休暇手当金は退職所得に該当する。

・本件更正処分は、その全部が取り消されるべきである。

いかがでしょうか?

ただし、本裁決は過去の最高裁判決を考慮していない部分があり、

問題を残した裁決とも言えます。

この続きの論点は後日ブログにて。

 

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