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2016.08.29

多忙を理由に調査を延期できるのか?

※2015年8月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。

税務調査の開始時期前倒しにともなって、
8月の調査件数はかなり増加していることでしょう。

さて、私がよく税理士に聞かれる質問に、

「忙しいのを理由に調査を先延ばしにできるのか?」

というものがあります。この質問を2つに
分解して回答してみましょう。

(1)事前通知段階で多忙を理由に先延ばしする場合

事前通知段階で、顧問先もしくは税理士が
忙しい時期などの理由で、2~3ヶ月先に
調査日を設定することは問題ありません。

これはあくまでも調査官との調整事項ですから、
先延ばしの日程でも問題になることはないでしょう。

(2)事前通知で決まった日程をリスケする場合

調査官が嫌がるという意味で、問題になるのは
こちらです。法律規定を確認しておきましょう。

第74条の9第2項
税務署長等は、前項の規定による通知を受けた
納税義務者から合理的な理由を付して同項第1号又は
第2号に掲げる事項について変更するよう求めがあつた場合
には、当該事項について協議するよう努めるものとする。

この規定により、事前通知での決定事項を
納税者側から変更する場合は「合理的な理由」
が必要であることがわかります。

では「合理的な理由」な理由とは具体的に
どのような場合を指すのでしょうか?

この条文の解釈通達を見ると、

4-6(事前通知した日時等の変更に係る合理的な理由)
法第74条の9第2項の規定の適用に当たり、調査を
開始する日時又は調査を行う場所の変更を求める理由が
合理的であるか否かは、個々の事案における事実関係に
即して、当該納税義務者の私的利益と実地の調査の適正
かつ円滑な実施の必要性という行政目的とを比較衡量の上
判断するが、例えば、納税義務者等(税務代理人を含む。
以下、4-6において同じ。)の病気・怪我等による
一時的な入院や親族の葬儀等の一身上のやむを得ない事情、
納税義務者等の業務上やむを得ない事情がある場合は、
合理的な理由があるものとして取り扱うことに留意する。

とあります。ここでのポイントは2点で、

①仕事関連で多忙というのは延期理由になる

とともに、

②(納税者ではなく)税務代理人=税理士が
多忙というのも調査の延期理由になる

ということは知っておくべき事項です。

さらにこれらを裏付けるものとして、
国税の内部通達にはこう記載があります。

「税務調査手続等に関するFAQ(職員用)」
問1-49
「多忙である」ことは合理的な理由になるのか。
(答)
単に多忙であることをもって、合理的な理由に
該当するとは判断できませんが、多忙であることの
具体的内容を聴取し、個々の実情を斟酌した上で、
「業務上やむを得ない事情」として調査日時等の
変更が可能か否か検討することになります。

調査を延期したい旨を調査官に伝えた場合、
応じてくれなければ、上記の根拠をもって、
多忙であっても調査の延期ができる
ことを主張してください。

 

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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