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2017.09.05

否認指摘を受けたらまず質問する

※2017年5月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

 

株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。

先日、「AI経営で会社は甦る」(冨山和彦著)を
読んでいて、このような記載がありました。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「AI時代に残る仕事、なくなる仕事」
たとえば、会計士や経理の仕事はかなり減る。
杓子定規にやることが大事だからだ。
(略)
意外となくならないのは、税理士。
なぜかというと、税務署の判断はかなり曖昧で、
自由裁量に委ねられているので、交渉の余地があるからだ。
(略)
税理士は税務調査が入ると、必ず交渉が発生して、
それによっておみやげがあったりするから、
人間でなければいけないのだ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

おみやげの話はさておき・・・
税務調査は単純に白黒がつかないことが多く、
交渉が必要であることは間違いない事実でしょう。

さて、税務調査において、うまく交渉する
秘訣というのは何でしょうか?

【否認指摘を受けたら、とりあえず質問する】

これは、かなり汎用性がある交渉方法です。

例えば、重加算税の指摘を受けた場合、すぐに
重加算税ではないことの反論をするのではなく、

「なぜ重加算税なんですか?」
「何を根拠にしていますか?」

などと、とりあえず調査官に質問するのです。

調査官もこう質問されると、
その理由や根拠を回答せざるを得ません。

重加算税の要件は国税通則法第68条にあるとおり、
「隠ぺいまたは仮装」ですから、
それ以外の根拠を調査官が回答してくれば、

「それでは重加算税にはなりませんよね」
「重加算税の要件を満たしていませんね」

と、簡単に反論することができます。

このように、質問から入れば、その回答根拠に
対して反論すればいいだけですから、
税務調査の交渉も非常に簡単になります。

一方で、否認指摘の根拠も明確になっていないのに、
それに対して反論するのは不可能ともいえます。

私に対する税務調査の質問・相談でも、

「○○と否認指摘されました」

とだけあって、その根拠や理由がわからない
(調査官に聞いていない)事案が多くあります。

これで、「反論方法を教えてください」は、
誰しもムリがありますことは明白でしょう。

税務調査での正しいやり取りは下記の流れです。

調査官から否認指摘
⇒ その根拠・理由を質問する
⇒ 調査官はその根拠・理由を回答してくる
⇒ 突き詰めて「○○ということですね?」と
  念押しして根拠・理由をより明確にする
⇒ その根拠・理由に対して【のみ】反論する

この反論に対して、調査官が違う根拠をもって
さらに反論してくれば、同じことを繰り返します。

このようにすれば、論点が明確ですから、
やり取りがズレていくこともなくなります。

論点が明確になっても、反論方法が思いつかない
場合も当然あります。その場合は、
「いったん持ち帰って検討します」
としておけばいいのです。

その場で反論できなければ
否認されるわけではありません。
焦る必要はまったくないのです。

税務調査では、あえてすぐに反論せずに、
否認指摘の根拠・理由を質問することから
入ってください。これだけで反論が簡単になります。

 

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一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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