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2017.02.16

倒産防止共済に関する注意点

※2016年7月の当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

さて、今回は「倒産防止共済に関する注意点」ですが、

裁決ではなく、条文等を通じ、1通りをまとめてみたいと思います。

先日も税理士の方から倒産防止共済に関するご相談があったのですが、

まだ多くのケースにおいて、「明細書の添付漏れ」が発生しています。

所得税においても同様の規定となっていますが、

措置法第66条の11(特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例)

では下記とされています。

1 法人が、各事業年度において、長期間にわたつて使用され、又は

運用される基金又は信託財産に係る負担金又は掛金で次に掲げるものを

支出した場合には、その支出した金額は、当該事業年度の所得の金額の

計算上、損金の額に算入する。

二 独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う中小企業倒産防止共済法の

規定による中小企業倒産防止共済事業に係る基金に充てるための同法

第二条第二項に規定する共済契約に係る掛金

2 前項の規定は、確定申告書等に同項に規定する金額の損金算入に

関する明細書の添付がない場合には、適用しない。ただし、当該添付が

ない確定申告書等の提出があつた場合においても、その添付がなかつた

ことにつき税務署長がやむを得ない事情があると認める場合において、

当該明細書の提出があつたときは、この限りでない。

宥恕規定は単なる税理士の失念には適用されないため、

結果として、当初申告等の段階で「損金算入に関する明細書の添付」が

必要となります。

この明細書は平成28年4月1日以後終了事業年度又は連結事業年度分に

おいては、別表10(6)「社会保険診療報酬に係る損金算入、農地所有

適格法人の肉用牛の売却に係る所得又は連結所得の特別控除及び特定の

基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書」を指します。

そのため、経理処理の如何を問わず、当該別表の添付失念の場合、

倒産防止共済の掛け金は損金算入されないのです。

また、倒産防止共済を損金経理した場合、過去の掛け金総額が

表示されないため、掛け金を資産計上し、別表減算しているケースも

ありますが、この場合は「減算の失念」、「添付の失念」には

十分な注意が必要です。

実例として、「資産計上、減算失念、添付失念」というものがありますが、

この事例では更正の請求はできる訳がありません。

なぜならば、更正の請求の原則的な考え方は「課税標準等若しくは税額等の

計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に

誤りがあったことにより」ですので、単なる失念は対象にならないのです。

そのため、私は資産計上した上での別表減算はお奨めしていません。

なぜならば、添付漏れが生じても損金経理してあれば、所得は減っており、

これが実際に税務調査で指摘される可能性は低いからです。

また、中小機構に問合せをすれば、掛け金総額も判明しますので、

必要であれば、照会をかければいい訳です。

では、ここで話を変えます。

倒産防止共済の掛け金の損金算入は措置法に定めがありますが、

該当する条文番号を記載した適用額明細書の添付を失念した場合は

どうなるのでしょうか?

これも同様の取扱いとなってしまうのでしょうか?

「租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律」の

第3条(適用額明細書の提出義務)にこれに関する定めがあります。

3 税務署長は、第一項の規定による適用額明細書の添付がない

法人税申告書又は同項の規定による適用額明細書の記載に虚偽がある

法人税申告書の提出があった場合においても、誤りのない適用額明細書の

提出があったときは、当該適用額明細書に係る法人税関係特別措置を

適用することができる。ただし、故意に、適用額明細書を添付せず、

又は虚偽の記載をした適用額明細書を添付して法人税申告書を提出したと

認められる場合は、この限りでない。

つまり、原則的には「誤りのない適用額明細書の提出」をすればいいのです。

いかがでしょうか?

私は税理士会の各支部、TKC等からお声掛け頂き、

研修の講師を務める機会も多いのですが、会場でヒアリングすると、

60%くらいの方は添付漏れをしている現実があります。

実際の税務調査で指摘されるかされないかという問題はともかく、

指摘された場合は「単なる税理士のミス」でしかありません。

ここは十分に注意すると共に、本ブログの理屈を十分に

ご理解頂ければと思います。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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