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2017.01.30

サービサーへの債権譲渡と債務免除益

※2016年7月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

 

日本中央税理士法人の見田村元宣です。

今回は「サービサーへの債権譲渡と債務免除益」ですが、

仙台高裁(平成18年7月14日、最高裁では上告不受理で確定)

をご紹介します。

顧問先が借入金の返済をできず、金融機関が債権をサービサーに

債権譲渡することがあります。

その後、顧問先はサービサーとの交渉を行うことになりますが、

最終的に返済しないことが「確定」した債務に関しては、

債務免除益を計上せざるを得ません。

では、形式上の債務としては残っているものの、

「実質的には返済しなくてもいい」という場合はどうなるのでしょうか?

これが判断されたのが、上記判決であり、下記と判断されています。

〇本件調停により、本件債務がいわゆる自然債務とされたことは、

前示のとおりであるところ、自然債務は債務の履行が法律以外の社会規範に

よる債務者の自発的な意思に委ねられている債務であって、債権者は

強制履行の手段をとりえない債務である。したがって、弁済しなくても

債務者には何ら法的不利益を生じないため、金額的にも時期的にも弁済

されることの裏付けがなく、いかなる意味でもその支払が担保されて

いないものであるから(仮に、本件調停が事業再生を目的としてなされた

ものであるとしても、民事再生法等に基づく他の手法による事業再生とは

この点で根本的に異なるものというべきである。)、現実の弁済が

なされないかぎり、その経済的価値は無いに等しいというべきであって、

強制執行可能な通常の債務が自然債務に転化すれば、その時点で債権者の

経済的利益は失われた(ママ)、これを債務者からみれば、対応する

経済的利益を得たとみるのが相当である。控訴人の主張は、それ自体、

本件債務が自然債務となることによって控訴人が受ける経済的利益を

示すものである。

確かに、自然債務も債務が消滅するわけではなく、債務者が弁済すれば、

非債弁済にはならないから、債務者はその返還を請求できない関係にあり、

この場合、債務者は自然債務となった時点で得た経済的利益をその限度で

失うことになるけれども、これは弁済行為によって生じた結果であって、

自然債務となっても経済的利益が生じていなかったことの現れと

みるべきではない。

〇そうとすれば、実質的にみても、本件債務免除によって受けた控訴人の

経済的利益が、本件調停の成立により本件債務が自然債務となったことに

よって失われたということはできない。

いかがでしょうか?

債務免除益が計上されても過去の繰越欠損金と相殺できれば、

納税は発生しませんが、多額の課税所得が発生するケースもあります。

この点は十分に考慮した上で、顧問先にアドバイスをすべきなのです。

 

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一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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