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2017.04.21

あの『超』節税スキームが封じられる???

※2016年11月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

 

日本中央税理士法人の見田村元宣です。

今回は「あの超節税スキームが封じられる???」ですが、

平成28年11月14日発行の「税のしるべ」を取り上げます。

まずは、今回のテーマの記事の全文掲載(図表以外)をします。

(ここから)

会計検査院が国外の中古不動産を利用した節税策を指摘

会計検査院は7日、平成27年度の決算検査報告を取りまとめた。

報告では、富裕層の一部が国外にある中古不動産を利用して行っている

節税策の実態を明らかにしており、現状の問題点を指摘した上で、

財務省に対して国外に所在する中古の建物に係る減価償却費のあり方を

検討するよう求めた。

検査院の指摘はその後の税制改正に結びつくことが多く、

本件に関する動向も注目される。

節税策の内容はこうだ。

中古の減価償却資産の減価償却費の計算では、法定耐用年数に代えて、

(1)法定耐用年数の全部を経過した中古資産であれば「法定耐用年数の

100分の20」、(2)法定耐用年数の一部を経過した中古資産であれば

「法定耐用年数—経過年数+経過年数の100分の20」を耐用年数

とする簡便法を用いることができる。

法定耐用年数の全部が経過した中古資産で簡便法を用いると、

住宅用の建物の場合の構造別の耐用年数は法定耐用年数が22年の木造等なら

4年に、38年のれんが造等なら7年に、鉄筋鉄骨コンクリート造等なら

47年が9年となる。

つまりは、中古住宅等はかなり短い期間で減価償却ができることになる。

この方法は、国外に所在する建物についても国内と同様に適用される。

他方、国内の建物、特に戸建て住宅は築後20年までで市場価値が大きく

低下するとされているが、米国や英国では中古住宅と新築住宅との価格差は

小さい。

このため、国内の中古住宅等よりも市場価値の低下しにくい海外の

中古住宅等を購入し、賃貸料収入を上回る多額の減価償却費を計上。

不動産所得に損失を発生させ、給与所得等の総合課税に属する他の所得と

損益通算を行うことで総合課税に係る所得金額と所得税額を減少させるという

もの。

減価償却費が計上できなくなると、その物件は売却する。

減価償却費の累計額は物件を売った際の譲渡所得の金額の計算上、

取得費から控除されるため、譲渡所得はその分増加するものの、

総合課税(最高税率は45%)に比べて低い分離課税の税率(所有期間が

5年超なら15%)が適用される場合には全体として所得税額の負担が

減少する。

検査院はこうした節税策の利用実態を高額所得者が特に多く住む

10税務署における申告状況から調査し、多数の者がこの節税策を

利用していることを伺わせる結果が出た。

検査院は「国外に所在する中古等建物については、簡便法により算定された

耐用年数が建物の実際の使用期間に適合していないおそれがある」とし、

財務省に対して見直しに向けた検討を要請した。

(ここまで)

いかがでしょうか?

このスキームを利用した源泉所得税の還付スキームは以前から問題視されて

いましたが、当然の指摘だと思います。

なぜならば、年収5,000万円、1億円の方の源泉所得税の「全額」が

還付されるというスキームだからです。

ここに規制が入る可能性が高くなりましたね。

ちなみに、過去の事例では、自動販売機の設置による消費税還付スキームの

指摘がされたのが平成21年10月で、平成22年度の税制改正で手当て

されている等の事例もあるので、短期的に改正される可能性もあります。

皆さんの顧問先の社長、医療法人の理事長などで、

国外の不動産による節税スキームを検討されている方がいましたら、

必ず、この情報をお伝え頂くよう、お願い致します。

 

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