2015.04.14

税務調査の遡及年数

税務調査において何年遡るのかについては、
実務上非常に不明瞭なポイントです。

通常の税務調査では、3年分が調査対象となっていますが、
たまに5年もしくは7年遡られることもあり、
その基準がよくわからない、という方も多いと思います。

しかも、平成23年12月の国税通則法の改正で、
更正の請求と合わせて、更正の期間制限に関する
改正も行われましたので、今回のブログで
すべて整理してみたいと思います。

まず通則法改正前は、原則として3年の訴求年数でした。
(旧国税通則法第70条第1項)
そのうち法人だけが例外で5年の遡及年数とされていました。
(同条文のカッコ書き)

ですから以前は、法律上の原則は

法人:5年
所得税・消費税・相続税など:3年

だったわけです。これが通則法の改正により、
「すべての税法で5年」となりました。

今までは、所得税や消費税の税務調査において、
下記にある「偽りその他不正の行為」がなければ、
3年を超えた年分を調査されたとしても、
それを明確に拒否することができたわけです。
(少なくとも修正申告を出す必要はありませんでした)

しかし、改正後は原則5年ですので、
現在の税務調査では5年まで遡られても文句を言えません。
(実務上は時間の都合もあって3年が続くと思いますが)

さて、この原則には例外があります。
それは、「偽りその他不正の行為」があった場合は、
7年間遡ることができるのです。この規定は
条文が変わりましたが、以前から同じです。

【国税通則法第70条第4項(旧5項)】
偽りその他不正の行為によりその全部若しくは一部の税額を免れ、
若しくはその全部若しくは一部の税額の還付を受けた国税についての
更正決定等又は偽りその他不正の行為により当該課税期間において
生じた純損失等の金額が過大にあるものとする納税申告書を
提出していた場合における当該申告書に記載された当該純損失等の金額についての更正は、第1項又は前項の規定にかかわらず、
第1項各号に掲げる更正決定等の区分に応じ、当該各号に定める期限
又は日から7年を経過する日まですることができる。

ここで注意が必要なのは、重加算税の賦課要件である
「仮装または隠ぺい」とは違うということです。

調査官に「なぜ重加算税なのですか?」と質問すると、
「不正行為だからです」と答える人が多いように思いますが、
これは明らかな誤りで、重加算税は「仮装または隠ぺい」
行為をしていた場合のみ課されるのです。

長くなるので解説はしませんが、
「偽りその他不正の行為」として7年間遡及されたにも
かかわらず、重加算税は課されていない
アメリカ大使館の事案が非常に有名です。

「給与等の収入金額をことさら過少に申告した行為は、
「偽りその他不正の行為」に該当するとされた事例」

http://www.nta.go.jp/kohyo/katsudou/shingi-kenkyu/sinsabunkakai/011119/shiryo/02_02.htm

http://www.kfs.go.jp/service/JP/62/03/index.html

話を戻すと、税務調査の訴求年数は原則5年、
「偽りその他不正の行為」があった場合のみ
7年遡ることができるのです。

調査官の中には、「偽りその他不正の行為」がないにも
かかわらず7年分の修正申告を提出するよう求める人がいますが、
これは法律的に間違っているのです。

また重加算税の要件と混同しやすいポイントです。
この実務では気をつけていただきたいと思います。

 

※2012年4月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

また、ブログの内容等に関する質問は一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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